別冊黒い画集/松本清張
April 21, 2007
6編からなる短編集。
家政婦が派遣された家でその家庭の崩壊を楽しむ『熱い空気』、邪馬台国論争と推理小説をくっつけた『陸行水行』の2編が変わった作品だと思った。
草の陰刻/松本清張
April 5, 2007
『草の陰刻』は爽やかな読後感のある作品だった。
主人公である検事の仕事に対する真剣な取り組み方と、女性に対する感情の初々しさが清潔感を感じさせる。一方、彼の対極にあるのは一人の代議士で、女関係、金銭関係、過去と不純な面が多い。
黒い画集/松本清張
March 31, 2007
読み終えるのに思いのほか時間がかかってしまった。
これは決してつまらなかったわけではなく、長編だと最後まで一気に読み通させる力を感じるのに対し、短編集だと一つ一つの終わりでなんとなく一息ついてしまうためだと思われる。
この短編集はのちの長編の土台となる要素を少しずつ含んだスケッチのような存在に感じた。
『黒い画集』というタイトルはそんなところからきたのだろうか?
Dの複合/松本清張
March 14, 2007
作家伊瀬忠隆は小さい出版社より浦島伝説のような僻地に残る伝説を取り上げた原稿を依頼される。編集者は浜中という若い男で、二人が取材旅行に行った先で事件に遭遇する。
前半、民俗学に関する記述が多く、読むのに苦労したのが、話が進むにつれて途中から舗装された道のように読み易くなっていった。
霧の旗/松本清張
March 7, 2007
『霧の旗』は冤罪を扱った作品。
冤罪の原因は警察の強引な取調べにあるが、そこに悪を求めて不正を暴くという主旨の作品にはなっていない。
かといって冤罪の真犯人を推理して探すわけでもないのが面白い。
物語はまったく別の点に比重が置かれている。
ゼロの焦点/松本清張
March 5, 2007
次のような一文が作中にある。
『いわば、これは、敗戦によって日本の女性が受けた被害が、十三年たった今日、少しもその傷痕が消えず、ふと、ある衝撃をうけて、ふたたび、その古い疵から、いまわしい血が新しく噴きだしたとは言えないだろうか』
わるいやつら/松本清張
February 27, 2007
ニュースや新聞を眺めていて、地位のある人間が悪事を犯すと、なんて悪い奴なんだと思う。その心理に応える題名。
この作品に登場する『わるいやつら』は自分の好都合ばかり考えて、人間としての幼さを感じさせる。
遠い接近/松本清張
February 18, 2007
とてもハラハラしながら読んだ。
2つのハラハラがこの作品にはあった。
1つはミステリー小説には必須と言える物語の結末を想像してのハラハラ感。
もう1つは戦時中の出来事が描かれていることに起因する。
絢爛たる流離/松本清張
February 17, 2007
十二話からなる連作。解説によると昭和38年の1月から12月にかけて『婦人公論』に連載されたらしい。
十二の話は一つのダイヤモンドによって繋がりを保っている。
すなわち、第一話で最初の持ち主が登場し、第十二話に最後の持ち主が登場する。
ダイヤモンドは、持ち主の周辺になんらかの事件を起こす。
不安な演奏/松本清張
January 19, 2007
去年の暮れから松本清張作品をまとめて読んでいる。
小説では探偵役を刑事や名探偵ではなく、新聞記者や会社員など素人が買って出ることが多い。
彼らが身近な発想で事件に挑むところに思わず引き込まれてしまう。
点と線/松本清張
January 6, 2007
『点と線』では犯行があった時刻に犯人が現場から遠くにいたことから成立するアリバイを、電車や飛行機の時刻表をひも解き、崩すところに面白さがある。

