『一勝九敗(柳井正著)』を読んで
August 16, 2009
ユニクロの成長はとても身近だ。
そこから何かしら学び取らないともったいないと思う。
『一勝九敗』は柳井正氏の言葉で、失敗や不安も含め、ざっくばらんに語られている点で、非常に価値がある本。
『失敗』も、致命的になる前に退けば、大きな『経験』となって次のチャレンジに役立つ。
成功するまで何度でもチャレンジするしかないということ、それから引き際が大切だということを忘れてはいけないんだろう。
フットワークの軽さと前向きさ、積極さが第一の成長をもたらしたのだとしたら、今はワンマンなトップダウンから、組織やフロー、システムといった基盤を整備し、社内だけでなく社外の力を含めた組織プレーに切り替えている。
目標や経営理念によって、目指すところ(ゴール)を示し、そこに向かって社員一人一人も考えて動くことが求められる(なんだかオシムサッカーのよう)。
この本は2006年のものだけれど、今もその流れは変わっていないと思う。Webプロモーションの数々や、ジル・サンダー氏が監修する『+J(プラスジェイ)』もその流れにあるように思う。
『高くて良い服』と『安くて悪い服』以外の選択肢『安くて良い服』。
この新しい市場は、企画、生産、物流、販売をコントロールすることで生まれた。
特に中国生産を安定化したことが、今なお重要なファクターであるように感じる。
もちろん多くの企業が中国生産を行っているのだけれど、なんというか、ユニクロの場合は、格別な信頼関係が出来上がっているんじゃないかって気がしてしまう。
ともかく急成長のなかで、基盤作りをおろそかにしないのは、どの企業でも実行できることではない。
PDCAを繰り返すという当たり前に聞こえることを、効果的に行っているからこそという感じがする。
PDCAを繰り返すうちに、違った方向へ進んでしまうことだってあり得る。
ぶれずにそれが行えたのは、先述したように経営理念、目標がわかりやすいからなんだと思う。
最後に気になった言葉を引用。
トレンドよりもベーシックなものに大きな需要がある。
1985年頃、郊外店舗を出すなかで分かったこととして上の言葉は登場する。
とても深い言葉だと思った。
カジュアルウェアである以上、ファッション性は必要なのは誰もが思うところ。
そしてファッションにはトレンド(流行)がある。
よって、トレンドを追ったものを各ブランドが新商品として並べる。
と、なりそうなところを、トレンドよりもベーシックと言い、ベーシックなファッション性を重視している。
この考えは、ジル・サンダー氏のイメージと重なる。
ジル・サンダー氏の協力により、さらに洗練させることになりそう。
根本的な部分でぶれない、つくづく。
[2009.09.11追記]
「世界一のアパレル製造小売業をつくりたい」
柳井正氏は会見でこのように話したという。
「今後はデザインを含めた『格好の良さ』も追求し、ブランド力の強化を進める」
参考記事:ファーストリテイリング:ユニクロ「売上高5兆円」 20年目標、アジア出店を加速 - 毎日jp(毎日新聞)
ユニクロは2020年売上高目標を5兆円に。
中国・アジアを成長の軸にし、出店を増やすだけでなく、パリやモスクワなどの世界の主要都市でも出店やM&Aを進める。
いつだったかの新聞に、グローバルで活躍できる幹部を育てるため、日本・アメリカ・中国での研修を強化するような話も出ていた。
それ以外に+J、ディズニーとのライセンス契約など、気になるところ。
[2009.09.30追記]
ユニクロは10月2日に控える銀座店のリニューアルオープンを前に、10月1日にパリ・オペラ店(グローバル旗艦店)がオープンする。
ジル・サンダー氏の『+J』も販売するみたい。
パリで『+J』がどう評価されるのかが、今後強化する欧州進出の明暗に大きく影響しそう。
参考記事:プレスリリース グローバル旗艦店「パリ オペラ店」10月1日(木)オープン
一方の銀座店は『+J』はもちろん、ユニクロと同じファーストリテイリングのグループ企業キャビンのブランド『アンラシーネ』『ザジ』を併設する点もポイント。
ジー・ユーは990円ジーンズなどで着実に認知度をアップしている気がするので、キャビンのブランドをまずはユニクロ銀座店内でどう位置づけて、どんな世界観で販売するのか興味ある。
参考記事:プレスリリース ユニクロ銀座店 リニューアルオープンのお知らせ
[2009.10.01追記]
アンラシーネは、『ナチュラルテイストをベースに程よいトレンドを取り入れた、誰でも着易いトレンドカジュアルファッション』。
ザジは、『スタイリッシュエレガンスをベースにシルエットにこだわった、誰でも着易いデイリーエレガンスファッション』。
『ナチュラル×トレンドカジュアル』と『スタイリッシュ×デイリーエレガンス』か。
ナチュラルって要素と、デイリーエレガンスという要素がユニクロ、そして『+J』のイメージと違うところ。『+J』はまだ本物見ていないけど、デイリーってイメージじゃない。
ユニクロを使って他ブランドも軌道に乗せようって狙い。それに銀座店を使うのが凄いなぁ。徹底的というか。
[2009.10.18 追記]
募集職種は唯一、「経営者」
ユニクロの2011年新卒採用のコピーだ。
そして募集職種欄には、『経営者(グローバルに通じる経営者を本気で志す職種。)』とある。
中途半端なことを書かずに、「経営者」が欲しいと言い切るところがユニクロ流。
「経営」を意識している人と、意識していない人では、ちょっとした仕事をするのでも、その質は大きく違ったものになるはずだ。
「経営」は成功を継続させ、長期的に捉える必要がある。
その先を考えられればこそ、今の仕事にも付け加えるべきアイデアが湧くことだってあるだろう。
「未来」を見ながら眼の前の仕事に取り組めること。
募集職種「経営者」とは、目先のことだけ考える人材はいらない、そう言っているような気がしてならない。
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