先入観をなくそうよ(「巨匠ピカソ 魂のポートレート」展に行って)

November 4, 2008

ピカソ 若い画家

ピカソ展に行って来た。
サントリー美術館と国立新美術館で同時に開催されているものだ。
一日で観るには集中力が持たなそうだったので、サントリー美術館の「魂のポートレート」展のみにした。

ピカソが手放さずに置いていた作品のなかから、ポートレートだけを集めた企画展で、パリの国立ピカソ美術館の改修に伴い、世界各地を巡るみたい。

サントリー美術館には58点が集められていて、それが「初期〜青の時代」「キュビズム時代の周辺」といったように、時期と作風によってセクションが区切られて展示されている。

祝日で、混雑を予想していたけれど、思ったほどではなかった。
ひとつの絵に、四、五人群がっている程度だ。
案外、ゆっくりみれた。
連休でみんなどこかに出かけたのかもしれない。


セクション1:初期〜青の時代
『自画像』
「青の時代」の作品ということだけれど、淡い桃色をした唇と、黄金色をした口ひげが印象的だった。


セクション2:キュビズム周辺の時代
『裸の少年』
描かれている少年は、顔や胴に比べ、腕と足がやたら太く、アンバランスだ。
整形手術やエステ、化粧など、理想の姿を求める人は少なくない。
ピカソは人間をアンバランスに描くことで、人間が求める理想や完璧な姿を否定しているのかな、と思った。

『男の胸像』
タイトルからすると男の絵のようだけれど、どこか女らしさを感じさせる。
副題は『アヴィニョンの娘たちのための習作』で、最終的に女性へと変形させたのかもしれない。


セクション3:新古典主義時代からシュルレアリスムへ
『パレットを手に画架に向かう画家』
参考:国立新美術館&サントリー美術館、異例の2館同時開催。六本木「ピカソ展」の見どころ - 日経トレンディネット(一番左の絵)
タイトルをみないと、なにが描いてあるのかわからなかった。
タイトルを知ってからみると、ああ、たしかに画家だ、とわかる。
かわいい画だと思った。

『アクロバット』
参考:国立新美術館&サントリー美術館、異例の2館同時開催。六本木「ピカソ展」の見どころ - 日経トレンディネット(一番右の絵)
簡単な曲線で描かれたブリッジをする男の目は笑っていて、世間を逆さまに眺めて楽しんでいるようにみえた。

『彫刻家』
彫刻家が微笑んでいるのに対して、モデルは鋭い目をしていて、普通は彫刻家を鋭い目にして、モデルを微笑ませるのではないか、と思った。
意図的に逆にしているような気がした。


セクション4:ミノタウロスと牡牛
ここまでのセクションが四階で、ここからは三階になる。
三階に降り、飾ってある絵をみると、四階と空気が変わったのを感じる。
このセクションには「血」の色が目立ち、ミノタウロスは日本の「鬼瓦」のような表情をしている。

『顎髭のある男の頭部』
この作品だけは違った印象を受けた。
明るいグリーン、そして紫・オレンジを差し色に使った男の頭部は、不協和音を鳴らしながらも、「争い」とはまた別の場所を目指しているようにみえた。


セクション5:戦中から戦後、そして晩年
晩年の作品が特に印象に残った。

『画家と子ども』
画家も子どももピカソ自身なのではないか、と思った。
水色がとても明るい気分にしてくれる。

『影』
雲となって空を浮かぶ女性を、影が見つめる。
村上春樹作品に出てきそうな影だった。
「こちら側」と「あちら側」が描いてあるようにみえた。

『戦争』
最初、『戦車』というタイトルかと思った。
ドクロにもみえる戦車が火を噴いている。それだけが墨で描いてある。
『戦争』をそこに凝縮してしまったのだと思った。

『若い画家』
微笑んで、満足しているようにもみえるし、からっぽな、虚ろな印象も与える。
展示の最後に相応しい絵だと思った。


ポートレートには自画像とそれ以外のものがある。
自画像以外のものでもモチーフのなかに画家自身のひとつの側面が埋め込まれているような気がした。

途中からなるべく作品説明を読まないで、絵をみようと思った。
ピカソの絵は、先入観をなくすことが大事だと思ったから。

「先入観をなくそうよ」

それが今日受け取った最大のメッセージかもしれない。

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Posted by scratchbrain at November 4, 2008 3:01 AM ブックマークに追加する

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